日本型ダーチャと生活安全保障

二拠点生活の場を確保して庭で飲用水、電気、食糧、燃料、かまどを、場合によっては耐空爆塹壕(anti-air raid trench)を作ります。

自分で作る電気

Ⅳ 自前の電気を用意する ―独立型太陽光発電 ―

 

はじめに 

外国から侵攻を受け、長期間地下室などに隠れて空爆、銃・砲撃を凌いだウクライナ

の人が「電気も水も食料もない」と嘆いているニュースを見ました。

確かにシェルターや地下室で砲撃・空爆を何とか凌いだとしても多くの場合、周囲の水道、電気、ガスといったインフラも破壊されており、これらについての補充・代替策が講じられないと生きていけません。

 昨今の日本では、ソロキャンプや車中泊が流行り、また絶え間なく発生する災害対策としての機能も持つレジャー・キャンプ用品も増えてはいます。しかし、それらは2泊3日、3泊4日程度の生活を前提としており一月、三月と長引くオフライン生活を前提とするものではありません。ウクライナではすでに7か月を超えています。

 本書ではもっと長く年単位でのオフライン生活が可能となるよう、飲用水に引き続いて電気についてサステイナブルな方策を講じていきます。

 

その前に太陽光発電一般について

私は商用電力と連系する(売買電)太陽光発電は自宅で行って20年、連系せずバッテリーに蓄電して行う独立型太陽光発電は始めて40年近くになります。

 

1 先ずは太陽光発電一般について気になる点から

 一般家庭で5kwほどの連系型太陽光発電を行っていて「売買電で十分黒字になっている。だから太陽光発電だけで日本の電力を賄えるはずだ」というコメンテーターがいます。確かに5kwほどの発電能力があれば多くの家庭では売電と買電の収支バランスはとれるでしょう。

 しかしそれは発電しないあるいは足りない夜間、雨天時は商用電力をバッテリー(蓄電池)として使っているからです。火力あるいは原発による発電所を前提としての立論です。夜間、雨天時も電力会社とは無縁に=自前の蓄電池で賄おうとすると相当高額な費用を必要とします。かっては400万とか500万円とかしました。蓄電容量を発電の一部にとどめるにしても50万円は見ておく必要があるようです。

 産業用電力を賄うにはこの比ではありません。

 

2 商用電力が使えないところで電気を作りながら使用するにはバッテリーが不可欠な要素となる独立型太陽光発電を行うことになります。

 小屋暮らしをしてオフグリッドの自給自足的生活を送りたいという人はたいてい当初は太陽光発電で需要を賄いますが、見ているとそのうちに電柱を立て商用電力を引っ張り込みます。

 すぐバッテリーがなくなる、使えない電気器具が多いというのが主な理由です。

 次のように分析、助言させていただきます。

・電気製品は起動時に高電流が流れます。ほとんどすべての電気製品を使いたいのであれば直流を交流に変換するインバータはサイン波(正弦波)1500Wのものにすべきです。車内でAC電源を使えるハイブリッドカーやEV・PHV車も増えていますが1500W出力を基本にしています。

・出力が1500Wものインバータは無負荷でも待機消費電流が多いのではないか、見合う太陽電池は大規模になってその用意が大変になるのではないか、との疑問が出てきそうですが、そうとも言えません。

 電気製品を使わないときはOFFにしておけばよいのです。消費電力が微弱な電気製品用には別にそれ相応の安価なインバータを用意すれば足ります。コンビニにも並んでいます。

どの程度のインバータを稼働できるかは太陽電池パネルとの関連ではなくバッテリーとの関連で決まります。

大消費電流を伴う製品でも、例えば家を建てるのに使う1000Wの丸鋸でも使 うのは週末の短時間15分というのが実際でしょう。ならば週5日は貯金に励み、1~2日のみ消費を楽しむという生活にもっていけばよいのです。

朝から晩までクーラーをつけっぱなしという生活スタイルを好む人には向きません。

写真のモバイルハウスでは200Wパネル2枚=400W、バッテリー2個=並列にして24V×100Ahとし(蓄電容量2400Wh)、これに1500Wインバータをつけるだけですが家一軒建てるのに必要なすべての大工道具の電力をまかなえます。

          

         

 

      

・問題なのはバッテリーです。

太陽電池パネルは50Wで5万円したものが今や3万円で200Wのものが買えます。1500Wクラスインバーターも私が購入したときは8~9万円したものがいまや2万数千円で購入できます。

太陽電池パネルは20年以上持つので、購入コストで支障となる度合いはかなり低下しています。多く入手して使わないパネルを倉庫にしまっているだけという人も少なくありません。

しかしバッテリーは重量ある生もので使用可能期間もさほど長くはなく、値段も張るなど悩みの種です。電気自動車におけるバッテリーと根本的に同じ悩みを抱えています。

<バッテリーの選択>

 

1)販売店(アウトドア用品や車中泊用品を扱うお店)はボートなどマリンレジャーを主目的とする20時間率100Ah~115Ah、重量25㎏前後のメンテナンスフリーバッテリー(鉛)を扱うところが多いようです。

その理由は、①バッテリー液を補充する必要のないこと ②価格、重量ともほどほどであり、お店としても売りやすく勧めやすいからでしょう。

しかし、ディープサイクルバッテリーとはうたっているものの実態はセミディープサイクルバッテリーで(仕様数値から判断できます)、可能サイクル数はそんなに多くはなく突然死することも見られます。小屋暮らしの人が太陽光発電生活をやめる要因にもなっています。

2)このところ太陽光発電用品を専門にするお店や前記アウトドアグッヅを扱うショップでも一部扱い始めているのが他のリチウムイオン電池より相対的に安価で安全度が高いとされるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーです。

 リチウムイオンバッテリーはエネルギー密度が高く一般的な鉛電池に比べ、重量、容積とも半分ほどで済みます。ただし、まだ価格は高く、出回っているリン酸鉄リチウムイオンバッテリーはほとんどが中国製のようですが実績のある販売店が売っているメーカー名のはっきりしているものだと12v、100Ahタイプで13万円、同150Ahで20万円ほどします。メーカー名不詳のネット販売の安いものでも200Ahタイプで8万円を越えます。

後述のポータブル電源も、ポータブル電源自体のメーカー名ははっきりしていますが(多くは中国製)、そこに内在するバッテリーメーカーは不詳のようです。

 リチウムイオンバッテリーはBMS(バランスマネイジメントシステム)という基盤が内蔵されているから安全というのが謳い文句ですが、取り扱いに注意が必要だからわざわざ個別に基盤を入れているのであり、直列、並列の組み方等ラフな扱いをしがちなアマチュア、非常時下の使用に向いているのかどうかわかりません。

 トヨタ車でも最近では新型「アクア」や「クラウン」の駆動用バッテリーにリチウムイオン電池のほかに新開発のバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載するものも出てきており、リチウムイオン電池にあらずんばバッテリーにあらずとは言えない状況です。

3)私が使っているのはEB電池というフォークリフトやゴルフカーなど電動車に使われている充電⇒使用(放電)⇒充電という正にサイクルユース用のディープサイクルバッテリー(鉛)です。

 理由は低価格の実力派だからです。

EBバッテリーを販売する主なメーカーにGS・YUASA、 G&YU、日立化成などがあります。(ただし近時、日立ブランドはタイ国のブランドに変わっています。)

特徴は液式(バッテリー液補充を要する)、重い(EB100で34キロ位)、安価(5時間率100Ah規格で2~4万円)、タフであることです。私の場合2011年に購入した日立のものが10年たってまだ使えています。移動ではなく据置使用、液の補充を苦痛としない方なら選択肢に入れてよいと考えます。

 EB100バッテリー6個を並列使用して12Vシステムで使うなら蓄電容量は

  12×100Ah×6で7200Whとなります。

            

                         

金額で22000円×6で13万円位となります。今回発売のiPhone14×1台分ですね。

このシステムがあれば全く電気が来ていないところでも家1軒建てられます。

4)<一般的な鉛電池使用について>

有事の場合を考えると、そこらへんに駐車している無限の数の自動車12V鉛バッテリーはほぼそのまま活用できる点は有利となります。福島原発電源喪失の時そういう動きもあったと聞いています。

現行の鉛バッテリーがいかにも環境に悪いかのように印象付ける傾向がありますが同バッテリーは100%業者に回収され、部品の再利用がされています。

 (2022年9月、10年使ったEB100バッテリ2個が単価1キロ45×69キロ、約3000円で中国系企業に引き取ってもらえました。)

レジ袋はよくないと言いながらコロナワクチンの注射器をプラスチックからガラスに替えるべきという方はいないことを考え合わせてもよいのでは?

 

ポータブル電源のこと

 最近、ポータブル電源というリチウムイオン電池を内蔵した小ぶりな電源ボックスが災害対策、アウトドアレジャー用品としてはやり始めています(リン酸鉄リチウムイオンバッテリーが大半のもようです)。持ち運びが便利で電気工作やDIYは苦手という人も方もこれなら使えるでしょう。塹壕その他の避難先での携行型電源として便利です。

 1000Whのものならかなり使えるでしょう。これを使ったユーチューブのなんと多いこと!

                        

                                 

ただし基本はAC充電ですので家で充電して車中泊で1~2泊使うといった使い方になります。AC充電ができない移動中であれば太陽電池を外付けして節電しながらの使用ということになります。

 なお、一般論ですがカタログ上の蓄電容量から割り算して○○Wの電気製品なら何時間使える、といったコマーシャルが多くみられますが、バッテリーのためには急速充電と共に高い放電電流も避けるべきです。

100A取れるバッテリーでも全部(1C)ではなく0.5C程度にすべきです。12Vシステムで1000Wの電気製品を使うと1000÷12=80A以上の電流が流れてしまいます。100A取れるバッテリー1個では0.8C以上となり、バッテリーのためによくありません。1000Wの電気製品を使いたいならバッテリーは少なくも200Aのものにするかあるいはそんな器具はバッテリーに向かないと止めるのが筋かなと思います。

注)24vシステムなら流れる電流値は半分で済みます。こういうこともあってドイツ車では48V仕様の電源にしているものもあらわれています。

 ユーチューブで多く見られる車中泊でのポータブル電源の使い方で邪道という感じがするものがすくなくない気がします。車の中で冷房、電子レンジ、ホットプレートなんて大金持ちのクルーザーヨットのよう。自然と一体に、ではなく自然に都会の生活を無理やり持ってくるような。なんのためのアウトドアなんでしょう。

 

自分で作る飲用水

Ⅲ 自分で作る飲用水➡雨水飲用水化

ー 水道水を利用できないときの恒常的飲用水確保策 ―

 

はじめに

日本の水道水は安全でそのまま飲めると誇らしげに語られます。

では、もし、テロ・戦争など意図的な攻撃で浄水場施設が破壊され、水道水が利用出来なくなったらどうしますか。

そんなことが起きるはずはない、ではなく起き得ることはウクライナ戦争ではっきりしてしまいました。日本でも戦争ではなく原発事故で似たような目にあっています。

2011年3月11日、原発事故後東京圏の飲用水の取水源となる河川の上流に放射性物質を含んだ雨が降り注ぎ、11日後の3月22日、その水を水源とする東京金町浄水場で放射性ヨウ素が検出され(1Lあたり210ベクレル)、浄水場が機能を停止してしまいました。

金町浄水場も千葉県側の栗山浄水場も「男はつらいよ」「野菊の墓」の舞台地であり、よく知っている場所だけにショックを受けました。まだマスコミもそれほど騒いでおらず、念のためペットボトルでも買っておくかとあたりのお店に赴きましたが、どこも空っぽ。これまでの人生で一度も足を踏み入れたことのないほこりが積もっているような辺鄙な場所のうらぶれたお店に行ってもありませんでした。

究極ともいえるような危機について人はマスコミが騒がなくても動物的な感で察知でき、買い占めに走ったようです。オイルショック時のトイレットペーパー不足どころではない静かでぞっとするような雰囲気でした。

 

さて、浄水場からの水道水がストップしたらどうしますか。

飲用可の井戸水や沢水が身近にあって利用できる人は幸いです。問題はそれができない人です。お店に買いに行ってもペットボトル入り飲料水は売り切れでしょう。水道局浄水場の非常用に備えるストックも、自衛隊の出動もあまりに求める人が多く、浄水場の機能停止が長くなるにつれ対応できなくなります。

侵攻を受け、長い期間身を潜めているウクライナの人が「食料も水も電気もない」と話している光景を忘れることはできません。

 

私としては雨水利用をお勧めします。雨水は本来、蒸留水に近いきれいな水なので集水面、送水パイプ、貯水容器、給水蛇口の衛生状況に注意しながら後に述べる適正なろ過を加えることで飲用にすることができるからです。

注)浅井戸や日本の40数パーセント(70%を超えるとの説もあります)の水道水が原水として頼っている河川水はほとんどがそのままでは飲めません。大都市浄水場の水も最終的に飲用可までに達するのは「高度浄水処理」と薬品(水道法により蛇口段階で一定レベル以上の残留塩素があることが必要とされている)に依ってのことです。

 

 

当初考えたのは*①<第1の手法>です。これは特許を獲れるかもしれませんが、電気、水中ポンプ、電子回路まで必要とし、”有事の場合にだれでもできる簡素な方法で“、とする要請にあいません。また、非開放容器内での砂ろ過によっても生物ろ過がなされることは肯定されていますが、砂・砂利層の容積、水温の変化でどの程度の影響を受けるか不明確です。少なくも自分以外の人に飲んでもらうためには高額な費用(1回1万円前後)が掛かる水質検査が必要となり、目的に合わない気がします。

 

*<第1の手法>

閉鎖的雨水貯水タンク内で

①   底の水を水中ポンプで砂利の詰まったステンレスざる内を上昇させる=<間欠式空気揚水筒と言い水槽内飼育魚のろ過でも用いられる。生物ろ過作用も生じている。>

②    タンク内上部に上昇した水を3つのステンレス網に分けて落水させ=<ここで空気に触れさせ、ばっ気効果の向上を図る。>                     

③   3つのステンレスざるで網内ろ過材に応じたろ過、すなわち 砂利ざる=生物ろ

過、粒状活性炭=吸着作用によるろ過、ゼオライト放射能対策効果の期待がそれです。

これらを太陽光発電による電気を用い、挿入した電子基板の回路により短時間周期で間欠的に作動させるというものです。

活性炭だけでは除去できない細菌を砂ろ過(生物ろ過)によろうというものです。今現在も稼働していますが確かに水はきれいだし容器内に苔・藻、スライム(ぬめり)が発生することもないなど絶えず水は活きている感じがします。

 

井戸水などで古くから行われていた素朴なろ過は棕櫚、小砂利などを使うものです。その後、水系疾患の多発や衛生知識の向上もあり、煮沸や薬品の使用は別として活性炭を使う人が増えてきました。今でもDIYでろ過を考える方はほぼこれに依拠しているようです。

しかし砂や砂利を使ってもそこに絶え間のない水とその流れがなく普段はカラカラの状態では「緩速ろ過」的な生物ろ過効果を望むのは無理です。また活性炭は量にもよりますが浄水にかなりの効果があるものの細菌の分解・除去まで行えるものではありません。

<膜ろ過>

 水処理の産業界では「砂ろ過で取り除けない細かい濁質は膜を使って取り除く」とされていますが、結論から言って私も費用、装置、技術的困難度、特に有事における特殊状況を考えると粒状活性炭+膜ろ過が目的にかなうと考えます。

膜ろ過とは膜の孔の大きさでふるい分ける「ふるい作用」によるものです。微生物を使う生物ろ過よりずっと安定し、かつ小型化ができ、この点でも有事向きでしょう。

ろ過に使う膜には精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、海水の真水化に使われる逆浸透膜(RO膜)があります。後者ほど孔が小さくなり、より微細な物質を阻害できますが圧力や電力を要するなどで使用のハードルは高くなります。

精密ろ過膜(MF膜)は圧力なしに(位置エネルギーを使用)おおむね0.1㎛以上の物質の通過を阻止できるのでウイルスは無理としても細菌は阻止されることになり、個人で用いる浄水装置として妥当と考えます。災害緊急ろ過器にも使われています。

中空糸膜

精密ろ過膜(MF膜)として多く使われているのが中空糸膜(ちゅうくうしまく)といわれるもので家庭用浄水器の多くはこれを用いていますがその歴史は古くはありません。

注)クリンスイの家庭用浄水器総合カタログに次のような記載があります。

活性炭での浄水が一般的だった1984年、私たちは中空糸膜フィルターを採用した世界初の浄水器クリンスイ」を発売しました。

総販売元三菱ケミカルクリンスイ

<市販の家庭用浄水器を使う場合の選択>

さて、市販の家庭用浄水器といっても蛇口直結型、ポット型、ビルトイン型などいろいろあり、この中でどれを使ったらよいかですが、水道水だけを前提にするのではなく雨水、井戸水、河川水など細菌の混入の恐れのある原水の浄化をも考えるので活性炭と中空糸膜双方で構成されるカートリッジを組み込んだもの、そしてろ材の量、ろ過に使う時間に余裕のとれるポット型が望ましいと考えます。

雨水利用で有名な墨田区雨水市民の会*クリンスイの家庭用浄水器に使われる浄水カートリッジ(cpc5w-nw)を用いて家族が使用後のお風呂の残り湯でろ過実験を行い、その結果を公開しています。大変有意義、有益なので閲読をお勧めします。

            

*     雨水市民の会 (skywater.jp)

同会は現役・OBの保健所職員も多く、その科学性は高く、私も所属の研修講師にお招きしたことがあります。

<私の方法>

活性炭の量を増やしたいこと、そして活性炭の有機物堆積によるつまりでろ過カートリッジ全体を頻繁に交換するのはもったいないと考え、活性炭と中空糸膜の濾過槽を分離することにしました。

注)粒状活性炭の価格は1㎏(2L)が送料込み2000円程度で購入できます。

 

問題は中空糸膜をどう調達し、どう中空糸膜濾過槽と連結させるかです。ここで助かったのが「携帯用浄水器」と呼ばれる中空糸膜をろ材とするアウトドア用品が最近ではかなり出てきていることです。登山その他冒険先で現地の水をろ過して口に入れるもので携帯に適する大きさ・形態です。価格も3千円位から入手できます。

下の写真左の2個です。右は前記の活性炭と中空糸膜の濾過槽双方が組み込まれているカートリッジ(cpc5w-nw)

 

選んだ「携帯用浄水器」A及びBは上の注入口に原水を入れ、下の吐出口を口に含んで浄水を飲むというものです。ただし上側の原水注入口はペットボトルの首を直接連結させることができるので井戸、川、雨水を入れたペットボトルを連結させ、チューブ、ホース類を介在させることなく浄化することができます。

携帯浄水器を複数の者で利用したいとき、予備的に多量の浄水をためておきたいというときは吐出口にチューブをつけて他の容器に連結させることで対応できます。

吐出口にもペットボトルと直接接続できるようにした製品(写真A)もあるので使い方によっては便利でしょう。

 

ペットボトルの水を原水とする場合あるいは浄水をペットボトルに溜める場合、かなりの縦長になり手で持っていないと転倒してしまい面倒です。

そこで以前、別著で製作紹介した「ろ過柱」を修正したオリジナルなものを作りました。

       

 

これによるろ過の流れの概念は次のようになります。

原水(雨水)を (第一濾過槽=ペットボトルの底を切ったもの)に注水

       

⇒第1濾過槽

・最上部にセットしたステンレスの味噌こし器(ざる類)で粗ろか

 内のろ材は自由選択

・粒状活性炭によるろ過(これがろ材第一の要素)

・第2濾過槽への連結部に活性炭の漏出を避けるためにろ過ウールを充填

⇒第2濾過槽=市販のアウトドア用携帯浄水器 内蔵の中空糸膜で細菌をブロック

⇒浄水貯水容器

浄水後の水をペットボトルや水保存タンク

自分で作る防護・防弾楯

Ⅱ 携帯型防護・防弾板(楯) 

はじめに

 外国の侵攻を受けたウクライナの人が歩行中あるいは自動車で走行中、銃撃を受け、負傷したり命をおとすことが多発しています。

その際の致死,致傷を少しでも回避・軽減すべく手持ちの資材で防護・防弾板(楯)を作ることにしました。国家間の紛争時の銃弾、個人犯罪による凶器のほか時にはイノシシなど野獣からの攻撃にも役立つかもしれません。

 日本の場合、殺人事件で使われる凶器はほとんどが刃物です。秋葉原事件、大阪の大学付属小学校、その他もろもろ。そういうこともあって発生時の対策として学校や事業所に準備されるのは「さすまた」など犯人を身体的に取り押さえるものがほとんどのようです。

 銃の所持が厳しく制限され銃による襲撃はほとんどないと考えられているからでしょう。しかし連合赤軍や今回の要人銃撃事件を考えてもそれが早計であるのは自明のことです。

外国や国家間の紛争すなわち戦争下では銃撃が主であることを直視すべきです。さすまたでは刃物攻撃は何とか避けられても銃の乱射を避けることはできません。面による防御が必要です。そんな観点から製作しました。

使用部材

主たる部材は高価なあるいは一般には取得困難なアラミド繊維炭素繊維を使うものではありません。防空塹壕の天井や出入り口のドアで使用した建設一般用品ともいえる幅56㎝、厚さ0.8mm、長さ2mの鋼板(仮囲鋼板とか安全鋼板などと呼ばれている)を使うものです。

2mのものが1枚2080円位なので(最近値上げされ2300円位)。 銃撃で狙われかつ生存に大きくかかわる上半身の保護を目指しその1/3約65cmを使うとして700円くらいのコストでできることとなります。

使用形態

① 歩行/静止状態での使用

手にもって、あるいは紐を肩にかけて装着します。

重量は約4㌔くらい、中学生なら持てるでしょう。大人なら片手で持てます。

縦、横使用可

   

② 自動車走行中の使用

2枚を用意して左右の窓ガラス内側にたてかけるか仮固定します。腰から頭部分を保護

③ 要人警護  距離のある高層建築からの狙撃防止のためには数人の者が楯をやや高くもって取り囲むようにして要人の上半身を保護します。

黒っぽい光沢素材はポリカーボネイト

              

製作

・構造は本体3層となります。外側から 鋼板、ニードルパンチ(自動車の不燃内装材)、ポリカーボネイドの順。

・鋼板のカット方法・機材は防空塹壕出入口の項を参照

・鋼板周囲にはけがをしないようドアモール(ドアエッジガード)あるいは建築資材のモール(カブセ)をはさみます。 

なお、実際使用には表面に黒色塗装を施し、遠くからは目につかないようにします。

 

付加可能機能 

①写真に見える衝立使用用自立支柱(裏面)のほか

②カモフラージュ取り付け用ロープの装着(前面上下2か所)

   (裏面に出るロープは手持ちあるいは肩掛けように使用)

③前方透視穴の設置

 

 

 

                   

 

 

 

 

 

 

 

自分で作る防空塹壕④v2 倒壊防止コンクリート柱 で強靭化

5  倒壊防止コンクリート柱の建立

はじめに

 切羽詰まった時の塹壕づくりでは無理でしょうが一段落すると塹壕内壁が崩れないか、コンクリート屋根が落ちないか気になってきます。

 1mくらいの深さなら経年に任せてもさほど崩れないこと(経験)、コンクリート屋根もそれが載る路肩部分の長さと硬さがしっかりしているなら平気ですが、安全のため念には念を入れることはベターです。

私もせっかく作るのだからなるべく持続させたいと何本か作っています。

(1) 塹壕内壁部分の一部には少しでも環境をよくしようと竹を横張しています。

といっても相手は土で、そこにボルト、ネジ止めするわけにはいかず、下から重ねていくわけですが、ここで当然塹壕側に何らかの杭を縦に打ち込むことが必要になります。

 細めの竹、木の杭、樹脂製の杭などいろいろあり、用いていますが、長年の使用と土圧に耐えるレベルの高いのはなんといってもしっかりした基礎を持つ鉄筋コンクリート柱になります。角柱型、円柱型両方を作っていますが紙製ボイド管を使った円柱型を紹介します。

 一定の深さに掘る。関東ローム層らしい赤土が見えている。

    

 大き目の石を敷き、突き固め,さらに空練りのコンクリートを投入して突き固める。

 

                                                                                              

 

 あらかじめ地上で作った底のない改良マスにスチールチャンネルを刺してコンクリートで固めた基礎部分を投下し、ボイド管を差し込んで中にコンクリートを注入。

                                       

 

                      

 

こうしたものを2本並列させ、竹を積んでいけば元々空隙だったところに後から土を入れて土壁化、塹壕化することも可能となる。

 

(2) ミサイルとコンクリート

 日本では隣国から日本海へミサイルが1発、2発撃たれると大騒ぎですが、ウクライナでは人の住んでいる同一地域に1日に300発ものミサイルが撃ち込まれるというのですから信じられません。ウクライナ国民のメンタルの強さに驚愕します。

 日本だったら1発撃ち込まれ、民家が1軒破壊されたら、自称プロコメンテーターは国民の命を守るため、ここは相手の言うことを聞いて停戦に応じるべきと言うでしょう。

 ミサイルと言ってもその破壊力は色々のようです。かなりのものをロシアの侵攻阻止のため橋に何度も直撃させていますが直撃部分に大きくない穴が開くものの橋全体が損壊する程度には至っていません。

高橋杉男氏がミサイルで橋を破壊させるのは困難と言いましたがそのとおりで、文系研究者がなんでわかっているのかとこの点でも驚きです。

 ミサイルも案外という側面もあるようで、ならばDIYによる防御力アップ策もあながち無意味ではないと考えます。

 

 防空塹壕では第1に屋根のコンクリート板を厚くすることです。10㎝厚のコンクリー

ト板の上にもう1枚、鉄筋、鋼板を多用したものを載せます。前述60㎝×2mのものが材料費約1万円でできるので命を守るための出費としてお安いと思います。

 第2にその上に土砂を厚く載せます。掘割で大量の土砂が出ますが土砂はプラスチックと違い紫外線で劣化しません。思い立った時に実行できます。

<後付けのコンクリート柱設置>

 ただ載せるものが重くなるほどそれへの耐荷重が問題となってきます。そこで後付けでコンクリート柱を設置します。次のようにしてはいかがかでしょうか。

 

屋根コンクリート板の両側に2基づつ建て、コンクリート板とコンクリート柱の間に鉄骨を通してボルト止めします。

 

 

自分で作る防空塹壕③ 出入口

 4 出入口(防空扉)の製作 

 意義・狙い

塹壕の上部を鉄筋コンクリート板で覆い、一定の耐空爆能力を持つものにしても塹壕両脇の開口部から爆風や砲弾破片が簡単に侵入するのでは避難者身体保護の点で不完全です。一定の対応力のある扉を用意すべきです。

扉自体の構造と、それをどうやって開口部にセットするかの2点が要素となります。

 

<扉の構造>

第1層部材の検討 ― 鋼板の使用 ―

しかし、DIYで作るとなると以下のように悩むところが出てきます。

  • 老人あるいは子供が手で開閉することもあるので重いコンクリートは使えない。
  • 鉄板にするにしても厚く幅広のものは価格が高いだけでなく著しく重く、運搬、加工が困難になってふさわしいとは言えません。
  • 身近にあって加工・使用しやすいものにガルバリウム鋼板がありますが、現実に手に入いりやすいものは厚さが2.7mmしかなくこれだけでは強度的に弱く、また、これで扉を作るには骨組みとしての枠,桟も必要になるなど面倒になってしまいます。

何とか桟なしに面材だけで扉となるものができ、それでいて過度に重くないものがないかと思い悩んでいるうち、塹壕の上部を鉄筋コンクリート板で覆うときに使った安全鋼板(仮囲鋼板)をカットして使えないかと考えるに至りました。

使いやすい0.8mm厚、2m長さで2000円ちょっとです。

 注:付記)この3か月でさらに数百円上がっています。

1.2mm厚のものもありますがかなり重く使いづらくなります。2mもので、0.8mm厚は8.03キロ、1.2mmだと12キロとなります。

                                     

問題点 切断方法

 穴開けは普通のドリルドライバーでできますが、問題はどうやって必要な長さあるいは幅にカットするかかです。

複数のホームセンターに聞いても鋼板のカットはしないとのことでした。

そこで自分でできないか持っている道具でチャレンジしました。

                     

火花と騒音がけたたましいデスクグラインダーは使いたくありません。

金切りばさみでも一応切れますが、切るそばから鋼板がめくれあがって不細工です。

 チップソー高速切断機は無難に切れますが、刃の口径程度の幅にしかしか切れず役不足です。 

                                     

最後にジグソーに金属板切断用ブレードをつけて物は試しとやってみたところ、なんと火花も騒音も低くしかもかなりきれいに切断できたのです。ジグソーの刃は価格も割安でお勧めできます。これで決定です。

                                                 

第2層 ― 窯業系サイディング ―

0.8mm鋼板なら枠材なしに扉にできますが、重量的にもまだ余裕があるので強靭化のため他の部材で裏打ちすることにしました。枠材なしに裏打ちできる重量で身近にある入手しやすいものとしては一般家屋の標準的な外壁に多用されている窯業系サイディングを選びました。これもジグソーでカットできます

                                       

*窯業系サイディングとはセメントに繊維質を混ぜ、板状に形成した耐火性のある外壁材です。ただし素材自体には防水性がないので塗装されていない裏面に保護塗装することが望まれます。

第3層 オプション

さらに耐貫通強度を増すなら裏側にも鋼板やガルバリウム鋼板を張ることも考えられましょう。

 

問題点<吊りさげ方>

狭く、また劣悪な環境下に陥いうる場所なので錆びやすい蝶番による開閉ではなく単純素朴な方法として金属パイプ類で防護扉を吊り下げることにしました。

穴あき平板とフックの組み合わせによりました。

                  

                                                             

空襲警報の解除されているときは平安貴族寝殿造の御簾のように下を持ち上げ、つっかえ棒で支えて半開きとすることもできます。

 

自分で作る防空塹壕② 耐空爆用屋根(天板)の構築

3 屋根(天井)部分について

 地上あるいは空中からの銃・砲撃、爆撃に一定の抵抗力を持つには塹壕にも屋根

(天井)部分を準備して一部でも地下室化し、防空壕の意味を持たせることが必要です。

 私は次のようにしました。

 普段は空堀を渡る橋(鉄筋コンクリート)として設置しておき、空襲時にはその下に

待機できるようにするのです。

(1) 製作のポイント

一人かつ機械は使わないという前提で次のようにしました。これがうまくいかないと「防空型」とならないだけに成功してささやかな幸せ感を味わうことができました。

 ① 屋根にする部材を丸太ではなくコンクリートにしたこと

  何人かの屈強な男性がトラックから太い丸太をおろして塹壕の上に並べていくウ

    クライナの映像を見ましたが一件素朴に見えるその方法はとりませんでした。

 チェーンソーを使って伐採→トラックに積み 運んで 降ろすということで機械、

   トラック、複数の人が必要になるからです。どこでも手に入るセメントは25キロ、

   砂利、砂とも大袋で20キロです。一人で運べます。道具はシャベルとセメント等を

  混ぜる容器(タフブネ)があれば足ります。

 ② 重機なし、人力一人という最低の条件で作れるよう、塹壕空堀)の上にできた

  ものを運ぶのではなく型枠をセットし、その中に鉄筋、コンクリートを注入すると

  いう方法を考えました。重くなったものを後から動かすことは不可能だからです。

 ③ 橋の幅は広いほど有効性が増しますが、作るのに手間がかかります。1日で作り

  終えず中断して後日付け足すのでは強度が損なわれます。そこで幅の狭いものを製

  作完結させ、後日脇に付け足し増設するようにしました。

   はじめに作ってあったのは幅30センチの橋(№1)で、後にこれと隣り合わせに

  50cm幅、の橋を付け加え(№2)、その後さらに60cm幅の鋼板入り鉄筋コンクリ

       ート橋を付け加え(№3)て計140㎝幅の通路兼少人数(1~3人)用防空屋根としまし

  た。

   さらに横に並列させていけばより多くの人数を収容できることになります。

 

 ④ 長さは堀の幅と関係してきます。コンクリート+土砂の重量を下で支えるのは塹

  壕両岸の土の部分です。短い幅では支えきれずに土砂崩壊の恐れもあるので余裕を

  持った長にすべきです。例えば堀の幅が70㎝なら両側それぞれ40㎝で橋を支え

  るよう計150㎝の長さにするなど。

   2003年に掘削した幅45センチの空堀は19年の経年変化で幅が広がり、かつ堀の

       上斜めにセットするため3基とも205㎝という長めのものになりました。

(2) 実際の施工手順                

  天板(屋根)タイプ1 

   当初、竹の拡散防止の掘割上に橋として製作したもの。厚さ8㎝、幅30cm、長

   さ205㎝。鉄筋は10mmの異形丸鋼使用。           

                     

  天板(屋根)タイプ2 

   コンクリート打設後は人力で動かせないので12mm合板で作った浅い箱状の型枠

   をセットし、そこに鉄筋を並べ、その上にコンクリート打設をする。鉄筋は10m

   mと13mm鉄筋を溶接して組んである既製品「立上り筋」3.6mを2mに切断し

   てセットした。

                  

        

                  

                   

           

 天板(屋根)タイプ3

   強度アップのため鋼板を入れることも試して①底部に数センチ厚のコンクリー

  トを打設してその上に②鋼板③鉄筋④ワイヤメッシュと重ね、これらをメッキ線で

  結び、⑤さらにその上に数センチ打設する。

   ただし、この鋼板は波板と同じく、重ねられるように両脇が丸くなっているので

  凸部を上にするか下にするかで迷う。コンクリート充填にあたって隙間が生じない

  のはどちらかを考えて選択するしかない。上にして下のくぼみにはコンクリート

  盛っておき、かつ上部平坦部には鉄筋を緊縛してコンクリートと鋼板の結合強化を

  図った。

   いずれにせよ神経を使う。タイプ2にして鉄筋の増加(ワイヤメッシュを追加する

  など)を図った方が合理的かもしれない。

         

     

      

       

 

        

        


          

        

 

        

         

 

<参考:一基あたりのコンクリート打設に要する時間>

 №2の50cm幅のコンクリート橋を完成させるのにどのくらいの時間がかかるか計測しながら作りました。上部内寸70×43㎝のタフブネで一回に25㎏セメント半袋+20㎏砂利1.2袋+20㎏小粒砂利1.2の混合比率で混ぜ、型枠に注入し、この打設が終わるまで1時間でした。人力ではかなり疲れるので1時間の休憩をはさみながら結局1日4回の作業で終了できました。二人なら1日に2基作れることになります。

 コンクリートは5日もあれば乾燥するので危機が切迫した段階で製作にかかっても1週間あれば間に合うことになります。

                                  

 

<防御力アップ>

 上の構築物は自動車が乗れる強度を持っているので、掘った土を土嚢に入れてあるいはそのまま載せたり、コンクリート屋根を二重にすることで強度アップができます。

自分で作る防空塹壕(anti-air raid trench)① 「はじめに」・「掘割」

はじめに

 かなり以前から欧米では核シェルターを作って備えている人がいるなどのニュースを見ることがありました。なんと大げさな、と思うだけでしたが今回のウクライナ戦争で特に台湾に近い島しょ地域や外洋沿岸部、基地周辺の人にとっては絵空事でない切実な関心事項になっているようです。そうなると今度は逆に地下室なり、シェルターに関する情報がほとんどないことに愕然とします。そんな観点から「Ⅰ自分で作る防空塹壕」について考え、実際に製作したところをまとめました。

   

      

 また、実際に侵攻を受け、隠れ、避難している人からは「水も電気も食料もない」との発言が多く聞かれます。この対応策としてシェルターづくりの後に引き続いて「Ⅱ 自分で作る水(雨水の飲用水化)、電気(独立型太陽光発電)、食糧、燃料、かまど」をまとめる予定です。

これは皮肉にもロシア・ソ連のダーチャと共通する破綻する社会の中でも個人として耐え忍ぶ方策と言えるものです。

Ⅰ,Ⅱ併せて戦時下でも何とか命を守り、生き延びる術にしたいと考えるところです。

 

 

自分で作る防空塹壕①  防空型塹壕の製作

 

 今般、空からの通常兵器による攻撃にも直撃でない限り何とか対応・防衛力があり(被害減少効果が期待できる)、それでいて国や自治体の援助がなくても低コストかつ最低一人の人力で建設・構築できる防空型塹壕を実際に製作してみました。

全体の構成容

  1 地下室より塹壕

    利点と弱点対策

  2 塹壕(掘割)について

  3 屋根(天板)

  4 出入口ドア

 追加5 強靭化とコンクリート

1 地下室より塹壕

 日本の戸建て住宅に地下室は向かない。

ウクライナでは空襲警報が鳴ると地下のシェルターに避難するという流れになっていますが日本の個人住宅レベルにはなじまないと考えます。

  • 日本の一般家屋は木造であり、言って見れば燃えやすい薪と危険な石油系断熱材の塊状態。その下に地下室を作るというのは防災の点から見ても不合理。
  • 地下室のある建物で施設管理を担当した経験からも言えることですが多雨・多湿、赤土土壌の日本風土で地下室内の敵湿を維持することは極めてコストがかかるぜいたくなこと。都心ど真ん中でない地域でそうする合理性あり?
  • 地震津波、洪水等災害対策で手いっぱいの日本で費用高額の地下室を個別に作る(補助金投与)余裕ありますか?
  • 不幸にも外国から侵攻され、侵攻国歩兵が一軒一軒不審者はいないか見て回り不審者と判断即射殺するようになったとき、地下室はここに隠れていますよと自己申告するようなもの。リスク回避=所在を隠す点からは不適と考えます。

 作るなら地上の民家の地下でなく距離を置いた入り口がわからない場所にすべきでしょう。

 塹壕の長所

 一方、塹壕は、以下のように地下室建設の問題点を回避し長所が多いことに気づきます。

 ・ご近所、個人、素人レベルで作れる←費用・技術・労力の点 ←本書で公開

 ・平時のデメリットが少なくメリットが大きい。 

   孟宗竹拡大防止、落ち葉の集積と腐葉土化、雨水の一時的滞水による下

  水道への圧迫緩和。

   下は10年前に竹対策に重機で掘った幅70㎝、深さ1m、長さ32mの堀

  割の現況ですが何にもしなくても幅が広くなり、底が若干浅くなった程度

  で原型をとどめています。ミニ渓谷の雰囲気も醸し出し、景観としても悪

  くはありません。

     

          

 ・隠れやすい。

   動物は襲われたとき、行動は「戦う」「逃げる」「隠れる」の選択肢か

  ら選びます。逃げる余裕も力もないとき隠れるしかありません。

  

 短所への対応

  • 無人飛行機、ドローンにより空からの探索、空爆が容易となっています。昔ながらの掘割のみの塹壕では防御性の点で脆弱さが増します。

  そこで⇒

   (上部の脆弱さ) →後述:屋根部分(天板)の付加

   (爆風、破片の回り込み)  →後述:出入口への扉の付加

  これによって地下室に近い機能を持つことになります。

  以上から「防空型」とネーミングしました。

  • 雨天、多湿への対応 克服するのではなく、雨は永久に降り続くものではない、空襲警報が解除するまでのしばしの我慢と割り切ることにします。

 

2 塹壕(掘割)について

  次の点に留意します。

  形態① ジグザグに掘る。

     堀割が破片や爆風の誘導路にならないよう直進性を減らすため。

   

   

                   

 

   ② 深さ 

     成人の頭が隠れるまでの深さにする必要はありません。1m堀り、そ

    の土を両側地上に積むと2mになります。また、粘土まじりの赤土が多

    いローム層下では堀が深いと少しの雨で水がたまり、抜けにくくなり

    ます。

     残土の処理も大変です。堀と土塁、池泉式庭園における池と築山の

    組み合わせは土木工事的に素直な解決策であることがわかります。

    ごく少数の者が体育館座りすればと70㎝+両側への積み上げ程度で十分

    と考えました。

          < 内壁補強 >

    深さがほどほどだと土壁も杭などで保護しなくても結構持ちますし、

   修復も容易になります。ただし、単なる孟宗竹の拡大阻止から塹壕とい

   う目的の昇華により不要で使い道のなかった竹を用いて内壁の質的向上

   を図りました。片側は旧態のままです。

        

            

    屋根(天板)部分の下は空襲警報時に身をひそめる大切な所なので両側を

   竹で整えました。内壁を中から支えるコンクリート柱については後述し

   ます。

             

       

  

 

   ③ 出入口は2か所あること

     何らかの理由で天井が崩れたときの脱出用です。地下室の場合は切

    実ですが塹壕の場合は細長い掘割が前提なので容易でしょう。