日本型ダーチャと生活安全保障

二拠点生活の場を確保して庭で飲用水、電気、食糧、燃料、かまどを、場合によっては耐空爆塹壕(anti-air raid trench)を作ります。

自分で作る防空塹壕③ 出入口

 4 出入口(防空扉)の製作 

 意義・狙い

塹壕の上部を鉄筋コンクリート板で覆い、一定の耐空爆能力を持つものにしても塹壕両脇の開口部から爆風や砲弾破片が簡単に侵入するのでは避難者身体保護の点で不完全です。一定の対応力のある扉を用意すべきです。

扉自体の構造と、それをどうやって開口部にセットするかの2点が要素となります。

 

<扉の構造>

第1層部材の検討 ― 鋼板の使用 ―

しかし、DIYで作るとなると以下のように悩むところが出てきます。

  • 老人あるいは子供が手で開閉することもあるので重いコンクリートは使えない。
  • 鉄板にするにしても厚く幅広のものは価格が高いだけでなく著しく重く、運搬、加工が困難になってふさわしいとは言えません。
  • 身近にあって加工・使用しやすいものにガルバリウム鋼板がありますが、現実に手に入いりやすいものは厚さが2.7mmしかなくこれだけでは強度的に弱く、また、これで扉を作るには骨組みとしての枠,桟も必要になるなど面倒になってしまいます。

何とか桟なしに面材だけで扉となるものができ、それでいて過度に重くないものがないかと思い悩んでいるうち、塹壕の上部を鉄筋コンクリート板で覆うときに使った安全鋼板(仮囲鋼板)をカットして使えないかと考えるに至りました。

使いやすい0.8mm厚、2m長さで2000円ちょっとです。

 注:付記)この3か月でさらに数百円上がっています。

1.2mm厚のものもありますがかなり重く使いづらくなります。2mもので、0.8mm厚は8.03キロ、1.2mmだと12キロとなります。

                                     

問題点 切断方法

 穴開けは普通のドリルドライバーでできますが、問題はどうやって必要な長さあるいは幅にカットするかかです。

複数のホームセンターに聞いても鋼板のカットはしないとのことでした。

そこで自分でできないか持っている道具でチャレンジしました。

                     

火花と騒音がけたたましいデスクグラインダーは使いたくありません。

金切りばさみでも一応切れますが、切るそばから鋼板がめくれあがって不細工です。

 チップソー高速切断機は無難に切れますが、刃の口径程度の幅にしかしか切れず役不足です。 

                                     

最後にジグソーに金属板切断用ブレードをつけて物は試しとやってみたところ、なんと火花も騒音も低くしかもかなりきれいに切断できたのです。ジグソーの刃は価格も割安でお勧めできます。これで決定です。

                                                 

第2層 ― 窯業系サイディング ―

0.8mm鋼板なら枠材なしに扉にできますが、重量的にもまだ余裕があるので強靭化のため他の部材で裏打ちすることにしました。枠材なしに裏打ちできる重量で身近にある入手しやすいものとしては一般家屋の標準的な外壁に多用されている窯業系サイディングを選びました。これもジグソーでカットできます

                                       

*窯業系サイディングとはセメントに繊維質を混ぜ、板状に形成した耐火性のある外壁材です。ただし素材自体には防水性がないので塗装されていない裏面に保護塗装することが望まれます。

第3層 オプション

さらに耐貫通強度を増すなら裏側にも鋼板やガルバリウム鋼板を張ることも考えられましょう。

 

問題点<吊りさげ方>

狭く、また劣悪な環境下に陥いうる場所なので錆びやすい蝶番による開閉ではなく単純素朴な方法として金属パイプ類で防護扉を吊り下げることにしました。

穴あき平板とフックの組み合わせによりました。

                  

                                                             

空襲警報の解除されているときは平安貴族寝殿造の御簾のように下を持ち上げ、つっかえ棒で支えて半開きとすることもできます。