日本型ダーチャと生活安全保障

二拠点生活の場を確保して庭で飲用水、電気、食糧、燃料、かまどを、場合によっては耐空爆塹壕(anti-air raid trench)を作ります。

自分で作る防空塹壕(anti-air raid trench)① 「はじめに」・「掘割」

はじめに

 かなり以前から欧米では核シェルターを作って備えている人がいるなどのニュースを見ることがありました。なんと大げさな、と思うだけでしたが今回のウクライナ戦争で特に台湾に近い島しょ地域や外洋沿岸部、基地周辺の人にとっては絵空事でない切実な関心事項になっているようです。そうなると今度は逆に地下室なり、シェルターに関する情報がほとんどないことに愕然とします。そんな観点から「Ⅰ自分で作る防空塹壕」について考え、実際に製作したところをまとめました。

   

      

 また、実際に侵攻を受け、隠れ、避難している人からは「水も電気も食料もない」との発言が多く聞かれます。この対応策としてシェルターづくりの後に引き続いて「Ⅱ 自分で作る水(雨水の飲用水化)、電気(独立型太陽光発電)、食糧、燃料、かまど」をまとめる予定です。

これは皮肉にもロシア・ソ連のダーチャと共通する破綻する社会の中でも個人として耐え忍ぶ方策と言えるものです。

Ⅰ,Ⅱ併せて戦時下でも何とか命を守り、生き延びる術にしたいと考えるところです。

 

 

自分で作る防空塹壕①  防空型塹壕の製作

 

 今般、空からの通常兵器による攻撃にも直撃でない限り何とか対応・防衛力があり(被害減少効果が期待できる)、それでいて国や自治体の援助がなくても低コストかつ最低一人の人力で建設・構築できる防空型塹壕を実際に製作してみました。

全体の構成容

  1 地下室より塹壕

    利点と弱点対策

  2 塹壕(掘割)について

  3 屋根(天板)

  4 出入口ドア

 追加5 強靭化とコンクリート

1 地下室より塹壕

 日本の戸建て住宅に地下室は向かない。

ウクライナでは空襲警報が鳴ると地下のシェルターに避難するという流れになっていますが日本の個人住宅レベルにはなじまないと考えます。

  • 日本の一般家屋は木造であり、言って見れば燃えやすい薪と危険な石油系断熱材の塊状態。その下に地下室を作るというのは防災の点から見ても不合理。
  • 地下室のある建物で施設管理を担当した経験からも言えることですが多雨・多湿、赤土土壌の日本風土で地下室内の敵湿を維持することは極めてコストがかかるぜいたくなこと。都心ど真ん中でない地域でそうする合理性あり?
  • 地震津波、洪水等災害対策で手いっぱいの日本で費用高額の地下室を個別に作る(補助金投与)余裕ありますか?
  • 不幸にも外国から侵攻され、侵攻国歩兵が一軒一軒不審者はいないか見て回り不審者と判断即射殺するようになったとき、地下室はここに隠れていますよと自己申告するようなもの。リスク回避=所在を隠す点からは不適と考えます。

 作るなら地上の民家の地下でなく距離を置いた入り口がわからない場所にすべきでしょう。

 塹壕の長所

 一方、塹壕は、以下のように地下室建設の問題点を回避し長所が多いことに気づきます。

 ・ご近所、個人、素人レベルで作れる←費用・技術・労力の点 ←本書で公開

 ・平時のデメリットが少なくメリットが大きい。 

   孟宗竹拡大防止、落ち葉の集積と腐葉土化、雨水の一時的滞水による下

  水道への圧迫緩和。

   下は10年前に竹対策に重機で掘った幅70㎝、深さ1m、長さ32mの堀

  割の現況ですが何にもしなくても幅が広くなり、底が若干浅くなった程度

  で原型をとどめています。ミニ渓谷の雰囲気も醸し出し、景観としても悪

  くはありません。

     

          

 ・隠れやすい。

   動物は襲われたとき、行動は「戦う」「逃げる」「隠れる」の選択肢か

  ら選びます。逃げる余裕も力もないとき隠れるしかありません。

  

 短所への対応

  • 無人飛行機、ドローンにより空からの探索、空爆が容易となっています。昔ながらの掘割のみの塹壕では防御性の点で脆弱さが増します。

  そこで⇒

   (上部の脆弱さ) →後述:屋根部分(天板)の付加

   (爆風、破片の回り込み)  →後述:出入口への扉の付加

  これによって地下室に近い機能を持つことになります。

  以上から「防空型」とネーミングしました。

  • 雨天、多湿への対応 克服するのではなく、雨は永久に降り続くものではない、空襲警報が解除するまでのしばしの我慢と割り切ることにします。

 

2 塹壕(掘割)について

  次の点に留意します。

  形態① ジグザグに掘る。

     堀割が破片や爆風の誘導路にならないよう直進性を減らすため。

   

   

                   

 

   ② 深さ 

     成人の頭が隠れるまでの深さにする必要はありません。1m堀り、そ

    の土を両側地上に積むと2mになります。また、粘土まじりの赤土が多

    いローム層下では堀が深いと少しの雨で水がたまり、抜けにくくなり

    ます。

     残土の処理も大変です。堀と土塁、池泉式庭園における池と築山の

    組み合わせは土木工事的に素直な解決策であることがわかります。

    ごく少数の者が体育館座りすればと70㎝+両側への積み上げ程度で十分

    と考えました。

          < 内壁補強 >

    深さがほどほどだと土壁も杭などで保護しなくても結構持ちますし、

   修復も容易になります。ただし、単なる孟宗竹の拡大阻止から塹壕とい

   う目的の昇華により不要で使い道のなかった竹を用いて内壁の質的向上

   を図りました。片側は旧態のままです。

        

            

    屋根(天板)部分の下は空襲警報時に身をひそめる大切な所なので両側を

   竹で整えました。内壁を中から支えるコンクリート柱については後述し

   ます。

             

       

  

 

   ③ 出入口は2か所あること

     何らかの理由で天井が崩れたときの脱出用です。地下室の場合は切

    実ですが塹壕の場合は細長い掘割が前提なので容易でしょう。