食べるものの用意 ―稼働即応の待機畑つくり
はじめに
これまで述べてきた塹壕や防護・防弾楯はむろん、雨水利用、太陽光発電も実際に行っている人は少ないでしょう。
しかし食べ物については農家という確固たる職業があるし、趣味としての家庭菜園、ベランダ園芸を行っている人は大変多いので、ここで私が農作物の作り方を述べる必要性は低いと思います。
それよりある程度の広さの庭、敷地をお持ちでありながらも普段は忙しく野菜を育てる暇はないが、いざというとき速やかに育てたいという人のためにいつでも迅速な再稼働可の待機畑つくりを紹介します。災害に備えて非常食や燃料を準備するということが行われますがその土地版、畑版です。
以下写真は実際に2月24日のウクライナへの侵攻というニュースを聞いて「待機畑」のシートをはがし、1週間日光にさらした9日後の3月3日にじゃがいもを植え付け、ほぼ教科書通りの100日後6月下旬に収穫となったものです。非常用待機畑の効果にわれながら驚いているほどです。
当テーマでは収穫後の姿が参考になるでしょう。右端のサツマイモと左のシソ以外、不要物をのぞいて整地し、雑草の種飛散を避けるためシートをかけました。
戦争はまだ続いていて、少し場所を変えて(連作障害を避けるため)秋植えのジャガイモを植えるかなと検討することがあったというのは残念なことです。
待機畑作成のポイント ― 放置畑と雑草のとの戦い ―
何年も放置されたままの土地、畑はあらゆる雑草が繁茂し、しまいには木まで生育しだして農地として使い物にならなくなります。雑草という名の植物はないといいますが立派な名前を持った強害草がたくさんあります。
チガヤ、ギシギシ、ハマスゲ、スギナ、ドクダミ等々。いったんはびこるとその地下茎の勢力はすさまじく再開するには新規の荒れ地開墾同様のエネルギーが必要となり戦意喪失となってしまいます。
非常用待機畑にとって最も大切なことはこれら雑草の種、地下茎からの浸食を守ることです。
そこで次のようにしてかれこれ10年近くなりますがすこぶる好調で、必要な時だけ再開しています。
畔波板の活用
これは本来、畔の保護用品ですが肉厚の樹脂で耐久性、対候性がかなりあり、価格もお手頃でなかなかのものです。
竹や芝などこれ以上増えてほしくないところに埋めて(高さはいろいろある)、拡散防止柵に使ったり、地上に自立させて、たい肥・腐葉土づくり円形サークルとしてとしても使えます。
右写真の円形サークルを拡大、畑を取り囲むように四角形にすればよいだけの簡単なことです。
配慮したポイントは次の点です。
・用いた板は30㎝高さ
・これを掘った溝に埋めるが、作成段階では転倒しないよう木杭を添え、また、高さがまちまちにならないよう水準器を使って高さ調整をする。
・畔板を入れることで不要な水たまりができないよう内側、できれば外側にも有機物マルチ材としても使われるススキなどの腐植迄時間のかかる刈り取った草をなるべく多くかつ深くすきこむ。